桜川市の蕎麦のお話


近年、高齢者の健康ブームの一環として、蕎麦食が静かなブームとなっています。
 
桜川市でも年々蕎麦の作付けが増えています。増加の要因としては、汎用型の収穫機(コンバイン)の普及や畑地での遊休農地など、耕作放棄地対策として、あまり手間が係らないといったメリットがあるからです。
(一部地区においては水田の転作を行っている地区もあります)
元々は葉たばこの裏作としての作付けが多かったようです。

品種は「常陸秋そば」と言う旧金砂郷町赤土地区での在来種を選抜していったものが品種登録をされて、茨城県内の蕎麦はこの品種に統一するよう指導があり、桜川市ではほぼ統一されています。一部在来種を自家採取している方も居る様です。県内の一部町村では他品種の作付けを行っている人がいますが、蕎麦と言う植物は蜂等の昆虫により受粉するために、混雑する範囲がその虫の移動半径である約20kmであると言われています。

ちなみにダッタン蕎麦(※)とは交雑はしないとのことです。
※韃靼蕎麦(だったんそば)・・別名苦(にが)そばと呼ばれ、ゆでると鮮やかな黄色になるのが特徴。中国の高地などで栽培されています。

9月から10月にかけて桜川市のあちこちの畑に白い粉雪のような蕎麦の花が咲き乱れます。8月の下旬に種を蒔き、小さな花を咲かせながらどんどん伸びてきます。
今年は台風の影響があまなかった為に順調に成長しています。害虫としては良く農作物を食べるハスモンヨトウ虫が一番気を付けなければなりませんが、今年の発生は少なかった様です。発生すると一晩で気付けば蕎麦が茎だけになってしまいます。数年前には大発生したことがありました。

収穫は、霜が降り、蕎麦の成長が止まってから行います。実の黒化率(実全体のうち黒くなった粒の割合)で判断する場合もあります。

輸入ものの蕎麦が国内シェアの8割以上占めている為に、駅の立ち食い蕎麦を代表として安く通年提供されていて、夏場が最も蕎麦が消費される時季です。暑いときに食べる冷たいおそば、とてもおいしいですよね。
しかし、秋蕎麦の採れたては11月になります。一般的に「三たて:挽きたて・打ちたて・茹でたて」と言われますが、これに「採れたて」を合わせた、新蕎麦の時期に是非「四たて」を味わってみてください。緑がかった綺麗な蕎麦に出会えると嬉しくなってしまいますよ。決して色粉での着色ではなく、蕎麦の甘皮部分の自然な色合いなのです。

これから、出来秋に際し、桜川市及び周辺各所にて「いわせ蕎麦の会」の面々がこの蕎麦のPRを兼ねて、色々な場所で、手打ち蕎麦を提供しております。その蕎麦打ちの業も是非御覧あれ!

日本人の蕎麦の一般的な食べ方は、「そば」と言われる「そば切り」をはじめ、「そばがき」等ですが、そば米やリゾット、クレープ、パン等多種多用な食べ方もあります。世界のそば料理にはもっともっと色々な食べ方がありますが、小麦文化ほど普及していない為に、それを紹介している文献はあまりありません。

蕎麦は痩せた土地でも育つと言われますが、やはり肥沃な土地の方が良いです。でも、あまりにも養分が多いとその茎の細さで倒服し、収穫が皆無になる場合もあります。また、湿害に非常に弱い為、湿地では、芽が出ても、その後どんどん溶けて行ってしまいます。つまり、水を溜めるべく作られて水田にはあまり向かない作物ではあります。水はけの良い傾斜畑での栽培の方が適しています。
こだわっている蕎麦屋さんは畑の蕎麦を望んでいます。
畑と水田で育った蕎麦には風味の違いがあり、その微妙な香りを蕎麦打ちの人たちは楽しみ、食しているのです。

私たちは、一人でも多くの方に、いつも安心して美味しく食べてもらえることを考えています。

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